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ユーフォ13:田中あすかの寿命

響け!ユーフォニアム
第13話「さよならコンクール」


 最終回。田中あすかに注目してみます。

 演奏前のアスカの台詞。
「なんか、ちょっとさみしくない? あんなに楽しかった時間が終わっちゃうんだよ。ずっとこのまま夏が続けばいいのに……」
「そうだったね。そういえば、それが目標だった」

 本番前の心境にしては少々落ちつきすぎている。
かなり強いレベルで結果より過程を意識しているか、そもそも結果がどうでもいいのか。
結果が自分に影響しないようにも思える。

 全国が決まってみんながはしゃいでいる時でも、アスカは一人だけ目を閉じている。

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 アスカの台詞を考慮すると、全国より部活の時間が長くなったことに安堵しているように思える。

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 みんなで気合いをいれる場面でも、アスカは一人違うところを見ている。
ここにはアスカと他の部員とのズレがある。
部員は全国を目標に努力してきたので、アスカの目標が全国でないことはなんとなくわかるだろう。

 人が安堵・安心するときはどんな場合だろうか?
それは一言にするとマイナスを回避できたときだ。
幸福の最大値を100、不幸の最大値を-100、平常を0として大ざっぱに考えてみよう。
二つのパターンがあるが、マイナス回避は共通だ。

A.0から-50になりそうなところで、なんとか0のままで助かった。
外部の何かを原因とした不安や危機があって、それがなくなり日常に戻れるパターン。

B.50から0になりそうなところで、なんとか50をキープできた。
いまの幸せが奪われそうだったが、それを回避できて幸福が続くパターン。

しかし、マイナスを避けた場合でも喜びはあるはずだ。
例えば、「サイコロを振って1が出たら借金500万円、2から6は何もなし」といった場合でも、2が出れば安堵はするが喜びもするはずだ。
今回のアスカに喜びの色はないように思える。
安堵だけする状況はなんだろうか?
おそらく悟った境地になるはずだ。

 個人的には希望がないのではないかと思う。
例えば、一週間後に死ぬ人間の寿命が一年間延びるとする。
けっきょく、もうすぐ死ぬことには変わりないのだから、喜びより安堵の方が強く感じられるのではないだろうか。
諦念のような悟りがあって「二度とは訪れないこの一瞬を大事に生きている」感じだ。

 吹奏楽部員の危機といえば、もちろん演奏できなくなることだ。
これをアスカに当てはめると「どのみち吹奏楽をやめることになっているが、全国に行けなかった瞬間に吹奏楽部をやめることになっていた」あたりだろうか。

 親が離婚するのか呼吸器官に病気があるのかわからないが、過去のエピソードからも「とにかくいまの時間を大切にしたい」という気持ちがアスカに感じられる。
そう考えると、恋愛が原因で練習に身がはいらない人間のことは「どうでもいい」と思うだろう。

 そうすると、アスカに似ているキャラは久美子の姉・麻美子だ。
よほどの資産家でもなければ、現実的に生きていく手段を獲得しなければならない。
麻美子がどんな思いで吹奏楽と向き合い、どんな思いで吹奏楽を諦めたのかは明らかになっていない。

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 前回、久美子は姉と対立したが、二期があれば久美子はアスカをきっかけにして姉と向き合うことになるだろう。

 

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