シャロト7:小道具:試行錯誤
Charlotte(シャーロット)
第7話
画面の裏で動いているキャラ
明かりをつけない、ゴミを散らかす、毛布をかぶる等で乙坂の心境を表現している。
ふだんからこのような暮らしなら問題ないのだが、この空間がいつもとは違う異常な空間であるため、乙坂の心情も異常だとわかる。
「耳を隠す」のは「何も聞きたくない」ということであり、他者の拒絶を意味している。
アルドノアゼロに似たようなキャラがいた気がするが、逆にかぶり物を外すと周囲の人間に心を開くような意味となる。
高城・柚咲がシチューを持ってきてくれるが門前払い。
弓が勝手に家に上がるが、乙坂に拒絶され部屋を出ていく。
ここでは乙坂をあまり心配していないキャラとして弓が使われている。
弓は最後に扉を閉めていくが、ここに乙坂と弓の関係が途絶えたことが表されている。
乙坂がピザばかり注文しているところに奈緒がサラダを加えるが、乙坂はピザしか食べない。
「頼んでいないサラダ」は誰か心配している人がいるということなのだが、それ以外にも意味するところはある。
当たり前だが、乙坂の友人は乙坂の体を心配している。
「ちゃんと食べているのだろうか?」「とつぜん自殺してしまわないだろうか?」などいろいろ考えるはずだ。
はじめは乙坂を心配した高城と柚咲がシチューを持っていったが拒絶された。
ここで「ふつうに持っていってもダメだ」となり、やり方を変える必要に迫られる。
次はお店のサービスを装ってサラダを出すことにした。
「お店のメニューとして出てくれば食べるだろう」と。
しかし乙坂はこれも食べない。
奈緒はさらにやり方を変えることになる。
彼女が注目したのは「乙坂はみたらし団子を食べている」ということだ。
ここで「乙坂は甘いものを求めている」ことに気づきレシピを探し、最後のオムライスを出す展開につながる。
ここにあるのは今ここにいない誰かの存在感だ。
画面に映ることはなくても、乙坂を心配している人たちが裏で試行錯誤しているという広がりだ。
7話を奈緒たちの視点で描けば、乙坂を更生させるために生徒会がいろいろ動くような展開ができるだろう。
「頼んでいない」ということは、何者かの意思へつながる入り口となる。
シャーロットではその何者かをわかるようにし、話の構造に厚みを作っている。
もしこの「何者か」を隠すと、かなり強い謎となって印象に残る。
殺人事件を扱う場合ならキャラクターたちが犯人を暴くような展開になる。
恋愛ものならば「バレンタインにチョコをもらったが差出人がわからない」みたいな話もできるだろう。
この場合は最後に種明かしをして、もう一度アニメを見直すと話の構造の厚みに気づける、というような仕掛けとなる。