結婚
それが声優!
第10話「進路」
十話をかんたんに説明すると、親に言われて進んできた道を自分の意思で歩き出す話となる。
鈴には幼い頃からの親友・サヨがいるが、最近は声優の仕事でなかなか一緒にいれなくなった。
進路相談で「高校は時間を取れるように芸能関係のところに進むことを考えた方がいい」と教師に言われるが、鈴は「サヨと同じ高校に行けないなんてありえない」と苦悩する。
悩み続けるが先輩のアドバイスを聞き、声優の道を突き進むことを決める。
サヨとは別々の高校になるが、これからもずっと親友だと誓い合う。
といったものがおおまかな流れだ。
・親友がいる
親友が出てくるので、布石として「幼い頃から親友がいるんです」という話がある。
そして仕事が入ってくるが、その日は親友と約束があり鈴には不満が残る。
一番最初に飛行機が描かれているが、飛翔や旅立ちなどのメタファーではないかと想う。
鈴が声優をやめるのは話として考えにくいので、鈴の成長を暗示していると捉えておけばよさそうだ。
・別離の苦悩
仕事で約束を守れなくなりサヨに謝る鈴。
今回は鈴がずっと悩んでいて弱々しいので、鈴の頭が低い。
サヨに謝るときも頭が少し低くなっている。
進路相談で芸能関係の高校を薦められるが、サヨと別々の高校はありえないと悩む鈴。
廊下のロングショットでは、鈴が学校という環境に対して弱くなっている様子を表している。
また、廊下は分岐点でもある。
廊下を直進する道と、右にいるサヨの二つの道がある。
廊下の先は長く続いていて、鈴の影がサヨの方に伸びているのは現時点で鈴の心がサヨと歩きたいことを示している。
ラジオの収録で鈴は自分がふつうの中学生生活を送れていないことに気づく。
赤信号は鈴の声優としての歩みが停滞したことを表しているが、再び歩き出すことも暗示している。
それは赤信号はいずれ青に変わるので表裏一体のものとして解釈できるからだ。
鈴はハイアングルからのショットで弱く見え、双葉は見上げるように描かれている。
鈴は親に言われたまま自らの道を歩いてきたのに対して、双葉は声優になりたいと決めて声優の道を歩いている。
この意思の差がショットの違いにつながっている。
広い空間にぽつんと鈴が座っているが、あちこちに物があり窮屈な印象を与える。
ビルの逆光が社会の厳しさをあおり、鈴は道の途中で止まってしまう。
鈴の前から帰宅するであろう女学生が来ることで帰宅ルートの違いが生まれ、鈴の生活が一般の学生とは離れていることを強調する。
・決断
先輩にアドバイスをもらい声優の道を歩むことを決める。
鈴の足を映しているところで、赤信号が青に切り替わったことを示している。
別の高校に行くことをサヨに伝える鈴。
夕焼けが顔に光と影を生んでいる。
ここではポジティブな感情とネガティブな感情の二つが合わさっている。
それはもちろん、鈴が自らの意思で道を選んだという喜びと、離れる時間が多くなるという寂しさだ。
・親友との誓い
鈴とサヨが抱き合うのは二回目だが、一回目は背景が壁だったのに対して今回は背景が窓で夕陽がスポットライトのようになっている。
指切りしているところだが、クローズアップすることで窓の枠が十字架になっている。
となると、窓の前で抱き合うことも儀式的な行為として考えられる。
二人が食べているパフェは、ウェディングケーキと解釈しても深読みではないだろう。