なぜケンタは利き手でナイフを刺さなかったのか?
ケンタが化け物に挑むシーンだが、なぜか彼は左手にナイフを持った。
左利きなのではないか?
という可能性はあるのだが、右利きに見えるところが多い。
恋人のハルカがさらわれたとき、化け物をモリで突くとき、「化け物はハルカだ」と言われ男を殴るときのすべてで右手が使われている。
両利きと言ってしまえばそれまでなのだが、意味もなく両利き設定というのも不自然なので、とりあえずケンタは右利きであると断定したい。
では、なぜケンタは最後に左手を使ったのか?
ナイフを左手で出すところはいいとしても、その後に右手に持ち替えた方が効率がいいはずだ。
ケンタはハルカのことが好きだったので、無意識に攻撃の強い右手を使うことをためらったのだろうか。
本当はジュリのことも好きだったりしたのだろうか。
ケンタとハルカ、そしてジュリについても見ていこう。
ケンタは一日中部屋に座って、ハルカの写真を見ていた。
ジュリが来ても片手で制止している。
目を合わせようともしていない。
アニメ全体を通して、ケンタはジュリをほとんど見ない。
ケンタの頭の中はハルカのことで満たされており、ジュリのことはまるで眼中にない。
ケンタを心配するジュリが可哀想に思えるくらいだ。
ケンタはジュリのことをキッパリと断っている。
ハルカのことが一途に好きなのだ。
ハルカがさらわれたとき、ケンタの右手は彼女に届かなかった。
ケンタはここで助けられなかったことを後悔している。
この右手でなんとしてもハルカをつなぎとめておきたかっただろう。
この気持ちはジュリも同じだ。
ジュリもケンタを呼び止めようと右手を伸ばすが届かない。
ここでも右手が象徴的に使われている。
ケンタもジュリも、もう少し距離が近ければ右手で掴めるのに、という状況にあった。
ここで恋人を距離的に『右手の届く範囲にいる好きな相手』と定義してみよう。
右手は好きな相手と結びつくために必要なのだ。
ケンタが化け物の触手に巻きつかれるところだが、右手で触手を掴んでいる。
左手はナイフでふさがっていたからだ。
ケンタは化け物・ハルカを右手で捕まえて救済されたというメッセージがここに隠されている。
つまり、なぜケンタは利き手でナイフを持たなかったのか?
の答えとしては、ケンタの右手を空けるためには左手でナイフを使う必要があり、空いた右手でハルカを掴むため、ということになる。
最後は新たに化け物になったケンタが、ハルカと手をつないでいる。
もう二度と離さないという意思が感じ取れるだろう。